沖縄のことを書いてみようと思う

 沖縄のことはずっと、苦手意識の中にあった。

 私は「沖縄二世」だ。両親は沖縄で生まれ、18歳で本土に「留学」してきた。以来、ずっと本土で生活してきた。だから、私も本土で生まれ、育った。

 沖縄を実際に訪れたのは、文字どおり数えるほどだ。両親は若くして結婚したためお金はなかったし、私は3番目の末っ子。沖縄に行くには、今よりもっとお金がかかった。

 3歳の時は、当時住んでいた広島から鹿児島まで電車で行き、そこからフェリーに乗った。フェリーの中で「スプーンおばさん」を見ていたら周りにいたはずの家族がいなくなり、「迷子」になった。後にも先にも、迷子になったのはその時だけだ。

 次に「帰った」のは小学2年の時。父の仕事の都合でアメリカに行くことになり、その前の夏休みに行った。母親が親戚のためのお土産を大量に買い込んでいたのを覚えている。1~2週間ほどだったと思うけど、帰るころにはすっかり、沖縄の子どもたちの言葉が移っていて、姉に笑われた。

 その次は中1。臨海学習のため、真っ黒に日焼けしていた私は、親戚から「地黒だ」と言われ続けた。行く先々で沖縄そばやお菓子を出され、断れずにすっかり太ってしまった。

 それからは、しばらく行った記憶がない。社会人1年目の時、自腹で行った。

 そんな具合だから、沖縄のことはよくわからない、という苦手意識があった。